- 打ち下ろしでは実質距離が短くなる。高低差10mで約5〜7ヤードの補正が目安
- 番手をはっきり落とすのは高低差15mから。10m程度ならいつも通りの番手で足りる
- 打ち上げと違い補正幅が小さい点に注意。「打ち下ろし=めちゃくちゃ飛ぶ」は思い込み
- グリーンオーバーは手前のショートより深刻なことが多い
- ティーショットではランが増えることを計算に入れる
打ち下ろしの定番の失敗
打ち下ろしのティーグラウンドに立つと、つい「今日は飛ぶぞ」と期待してしまいます。ところが実際に打ってみると思ったほど伸びない。かと思えばアイアンでは飛びすぎて、グリーン奥のトラブルに落ちる。どちらも打ち下ろしの定番の失敗です。
打ち下ろしの距離補正は、打ち上げほど単純ではありません。仕組みを知っているかどうかで結果が変わるホールです。
高低差別の番手の目安
10mくらいの打ち下ろしなら、番手はいつもと同じで足ります。1番手はっきり落とすのは、15mを超えたあたりから。ミドルアイアンならこのあたりが目安です。
同じ高低差でも、持つクラブで数字は変わります。ウェッジのように高く上がって急な角度で落ちる球は、高低差の恩恵をあまり受けません。ウッドやロングアイアンは落下角度が浅いぶん、同じ高低差でも前へ出る量が増えます。目安が10mで5ヤードだったり10ヤードだったりと資料ごとに割れるのは、この差を均してしまっているからでしょう。短い番手は控えめに、長い番手は多めに見ておくくらいでいいと思います。
そもそも高低差が何メートルあるのかは、目で見て当てられるものではありません。高低差モードのついたレーザー距離計を持っているなら素直にそれを信じる。ただし傾斜を測る機能は競技では使えない決まりなので、そこだけ注意してください。距離計がないなら、ヤーデージブックの断面図を見るか、キャディさんがつくラウンドならひと言聞くのが早いです。山を削って造ったコースは高低差そのものが大きく出るので、山岳コースの攻略法もあわせてどうぞ。
打ち下ろしの距離補正、打ち上げより小さい理由
意外に思われるかもしれませんが、打ち下ろしの補正幅は打ち上げよりも小さくなります。
これには物理的な理由があります。打ち下ろしではボールの滞空時間が長くなり、落下角度が急になります。その結果ランが減り、キャリーは伸びるものの、合計飛距離の伸びは限定的にとどまるわけです。打ち上げ側の補正の考え方は、打ち上げホールでの距離感の補正と番手選びで詳しく解説しています。
高低差10mの打ち上げは約+10ヤード、打ち下ろしは約-5〜7ヤード。上りは素直に足して、下りは足すときほど引かない。この非対称を覚えておくとクラブ選択が楽になります。
打ち下ろしでのクラブ選択
まず、補正は控えめに計算すること。残り150ヤードで高低差10mの打ち下ろしなら、実質は143〜145ヤード程度です。1番手小さくするかどうか、正直微妙なラインですね。
次に確認したいのがグリーン奥のリスクです。グリーンは手前より奥にハザードがあるホールが多く、打ち下ろしでオーバーすると急な下り斜面やOBが待っていることも。奥が危険なら、距離を落とすクラブを選びます。
もうひとつはランの増減。打ち下ろしのアプローチは落下角度が急になりやすく、グリーン上では止まりやすい傾向があります。一方、フェアウェイに落ちたボールは下り傾斜でランが伸びることも。同じ「下り」でも、場面によって逆に働くわけです。
向かい風・追い風が重なったとき
打ち下ろしで引ける数ヤードは、風が吹けば簡単に消えます。風速5m/sあたりでよく言われるのは、向かい風なら2番手大きく、追い風なら1番手小さく。高低差で引ける分より、はるかに大きい。
なので向かい風のホールでは、打ち下ろしでも番手を落としてはいけません。落とせば打ち下ろしの分と風の分をまとめて損して、グリーン手前で失速します。むしろ平地より大きい番手を持って、コンパクトに振るほうが合います。追い風と重なったときは逆で、ここでようやく1番手落としがはっきり効いてきます。滞空時間が長いぶん風に押される時間も長いので、平地の追い風より効きが強く出るようです。ただし2番手まで落とすと今度は届きません。風速別の番手補正は風の日のゴルフ攻略法にまとめてあります。
打ち下ろしのティーショット
打ち下ろしのティーショットは、飛距離面では有利に働きます。ただしいくつか注意点があります。
- ランが増える: 下り傾斜に着地するため、ボールが想像以上に転がることがある。バンカーや林まで届いてしまうリスクを考慮
- 風の影響を受けやすい: 滞空時間が長くなるぶん、風の影響が大きくなる。特に横風は要注意
- 目標が近く見える: 打ち下ろしでは目標が近く見える錯覚がある。視覚に頼りすぎず、GPS等で距離を確認する
グリーンオーバーが危険な理由
打ち下ろしホールのグリーンは、奥に向かって下り傾斜になっていることが多いもの。オーバーすると、急な下り斜面からの難しいアプローチが残ります。グリーン奥のバンカーやOBに捕まるリスクもありますし、運よくグリーンのそばに残っても、今度は下りのパットが3パットを呼びます。万一グリーン奥の斜面から打つことになった時は、傾斜地からの4パターンの打ち方が参考になります。
手前にショートした場合は比較的平坦なアプローチが残ることが多いので、打ち下ろしでは「手前に外す」意識が安全策になります。
迷ったら「手前でOK」と割り切る。打ち下ろしのグリーン奥は罠が多いので、ショートのほうが次のショットが楽になるケースがほとんどです。
まとめ
打ち下ろしホールは「飛ぶ」イメージが先行しますが、補正を過信するとかえってスコアを崩します。補正は打ち上げより控えめに、高低差10mで約5〜7ヤードが目安。打つ前にグリーン奥のリスクを確認して、迷ったら手前に外す。ティーショットではランの増加も計算に入れておきましょう。
地味な補正の話ですが、知っているだけで結果が変わるホールです。
参考文献・データについて
本記事の高低差による距離補正の目安は、一般的なゴルフコーチングの知見および弾道学の基本原理に基づく概算値です。気温、風、クラブのロフト角などにより実際の補正幅は変動します。
関連記事
風の日のゴルフ攻略法:風を味方にする戦略
風が強い日のゴルフ攻略法を解説。向かい風、追い風、横風それぞれの対策とクラブ選択のコツを紹介します。
打ち上げホールの攻略:距離感の補正と番手選び
打ち上げホールでの距離感の補正方法と番手選びを解説。高低差に惑わされず、正しいクラブ選択でスコアを守りましょう。
長いパー4の攻略法:ボギーで十分と割り切る
400ヤード超のパー4攻略法を解説。無理にパーオンを狙わず、ボギーで確実にまとめる戦略でスコアを安定させましょう。
短いパー4の攻略法:バーディチャンスを活かす
短いパー4ホールの攻略法を解説。ティーショットの選択、セカンドショットの狙い方、バーディを取るための戦略を具体的に紹介します。
ラフからの脱出術:深さ別の最適クラブ選択
ラフからのショットを深さ別に解説。浅いラフ・中程度のラフ・深いラフそれぞれの最適なクラブ選択と打ち方を紹介します。
パー72コースの攻略戦略:スコア帯別プランニング
パー72コースをスコア帯別に攻略する戦略を解説。100切り、90切り、80切りそれぞれの目標設定とコースマネジメントの考え方をデータで分析します。