練習・上達法Reading

ブロック練習 vs ランダム練習:どちらが効果的か

ゴルフにおけるブロック練習とランダム練習の違いと効果を科学的に解説。練習場でのメニューの組み方を変えるだけで上達スピードが変わります。

ゴルスコ編集部
GOLSCO Editorial
2026年7月6日6分で読めます
#練習法#科学
この記事のポイント
  • ブロック練習(同じ球を繰り返す)は短期的には上達感があるが、定着しにくい
  • ランダム練習(毎回違う球を打つ)は短期的には成功率が下がるが、長期的な上達に優れる
  • 初心者はブロック練習で基礎を固め、中級者以上はランダム練習を増やすのが理想
  • コースでは同じショットを2度打つことはない。練習もそれに合わせるべき

練習場での「ハマり感」は幻想?


練習場で7番アイアンを30球。最初はうまく当たらないのに、10球目あたりからナイスショットが出始めます。「よし、つかんだ」。

ところがコースに出ると、また同じミス。あの「つかんだ感」はどこへ行ってしまったのか。

これは運動学習の研究で説明がつきます。同じ動作を繰り返す「ブロック練習」は、その場のパフォーマンスは上がるのに、長期的な定着には結びつきにくい。いわゆる「文脈干渉効果」と呼ばれる現象です。

文脈干渉効果
運動学習の科学的概念
練習中の難しさが長期的な学習を促進する

ブロック練習とランダム練習の違い


ブロック練習

同じクラブ、同じターゲットで連続して打つ練習です。

  • 7番アイアンを30球連続で打つ
  • 50ヤードのアプローチを20球連続で打つ
  • ドライバーを50球連続で打つ

ランダム練習

毎球クラブやターゲットを変える練習です。

  • ドライバー→7番アイアン→ウェッジ→5番アイアン
  • 50ヤード→100ヤード→150ヤード→80ヤード
  • コースの各ホールを想定して順番に打っていく
こうなりがち
同じクラブで同じターゲットに30球連続で打つ
おすすめ
毎球クラブとターゲットを変え、コースを想定して打つ

なぜランダム練習が効果的なのか


ランダム練習が効くのには、いくつか理由があります。

まず、毎回「考える」必要が生まれること。ブロック練習は同じ動作を自動化していく作業ですが、ランダム練習では一球ごとに「次は何ヤード、どのクラブ」と判断が要ります。この負荷が、脳の中の運動プログラムを鍛えてくれます。

そしてこの状況は、コースそのものです。本番で同じショットが二度続くことはありません。毎回違う距離、違うクラブ、違うライ。ランダム練習はその「毎回違う」を練習場で再現しているわけです。

記憶への残り方も変わります。運動学習の研究では、異なる課題が混ざる「干渉」があるほうが、長期記憶への定着が進むと報告されています。楽な反復より、少し大変な練習のほうが体に残るのです。

おまけに、プレッシャーへの慣れもつきます。一球ごとにリセットして新しいショットへ向かうランダム練習は、コースでの一打ごとの緊張感に近い。ブロック練習では得にくいメンタル面の準備も、同時に進みます。

ただし初心者は例外

まだスイングの基本が固まっていない初心者は、ブロック練習で正しい動作を反復するのが先。「正しい動作を覚える段階」と「覚えた動作を実戦で使える段階」では、必要な練習法が違います。

レベル別の練習バランス


1

初心者(スコア110以上)

ブロック練習 70% / ランダム練習 30%

まずは正しいスイングの形を覚える段階。同じクラブで繰り返し打つブロック練習が中心でいい。ただし最後の10球はランダムに。

2

中級者(スコア90〜110)

ブロック練習 40% / ランダム練習 60%

基本的なスイングはできている段階。ランダム練習の比率を増やして実戦力を磨きます。

3

上級者(スコア90以下)

ブロック練習 20% / ランダム練習 80%

特定の技術課題のみブロック練習。それ以外はほぼランダムに。コースシミュレーション練習を中心に据えます。

実践メニュー:ランダム練習の取り入れ方


「9ホールシミュレーション」練習

ホームコースや次にラウンドするコースのレイアウトを思い出し、1番ホールから順に打っていきます。

  1. 1番ホール:パー4 → ドライバーで打つ → 残り150ヤードを想定して7番アイアン
  2. 2番ホール:パー3 → 160ヤードなので6番アイアン
  3. 3番ホール:パー5 → ドライバー → フェアウェイウッド → 50ヤードのアプローチ

9ホール分で約27球。十分な練習量で、しかもすべてランダムになります。

「サイコロ練習」

スマホのサイコロアプリを使い、出た目に応じてクラブと距離を決めます。自分では選ばない組み合わせが出るため、対応力が鍛えられます。

ランダム練習は最初は辛い

ランダム練習を始めると、ミスが増えて練習が楽しくなくなるかもしれません。でもそれが「学習が起きている証拠」。辛いけれど上達している状態です。

まとめ


練習の中身を少し変えるだけで、同じ球数でも上達の速さは変わります。

ブロック練習は「できるようになった感」が強いぶん、その上手さが練習場に置いてきぼりになりがちです。一方ランダム練習は、毎球考える負荷を通じて、コースに持ち込める力を育ててくれる。初心者はブロックを多めに、上級者はランダムを多めにと、自分のレベルでバランスを取るのがコツです。ホールを想定して順番に打つコースシミュレーションは、その総仕上げになります。

始めてしばらくはミスが増えて、正直あまり楽しくないかもしれません。でもそれは学習が起きているサイン。辛さは上達の途中経過だと思ってください。

参考文献・データについて


本記事の「文脈干渉効果」やブロック練習・ランダム練習の効果は、運動学習科学の研究に基づいています。

  1. Shea, J. B., & Morgan, R. L. (1979). "Contextual interference effects on the acquisition, retention, and transfer of a motor skill." Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory.

ゴルスコ編集部

ゴルフスコア分析アプリ「ゴルスコ」の編集部です。データとスタッツに基づいたゴルフ上達のヒントをお届けします。

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