- ゴルフには「無罰で救済を受けられる」状況が複数ある。知らないと損するルール
- カート道、修理地、排水溝、刺さったボール(埋まったボール)などが代表的
- 救済の手順は「ニヤレストポイント→1クラブレングス以内にドロップ」が基本
- 「ニヤレストポイント」の決め方を正しく理解するのが最重要ポイント
ルールを知っている人だけが得をする「無罰の救済」
カート道の上にボールが止まった。「運が悪い」とそのまま打つ人がいますが、実はこれ、無罰でドロップして別の場所から打てるんです。
ゴルフのルールには、プレーヤーの責任ではない障害から無罰で救済を受けられる状況がいくつか用意されています。技術はまったく関係なく、知っているかどうかだけでスコアに差がつくところです。
無罰の救済が受けられる主な状況
代表的なのは次の5つです。
- カート道路などの人工の構築物: ボールが上に止まった場合だけでなく、スタンスやスイングの障害になる場合も対象。スプリンクラーヘッドなども同じ扱いです
- 修理地(GUR: Ground Under Repair): 白線で囲まれたり「修理地」の看板が立てられたエリア。芝の張替え中やコース整備中の場所です
- 刺さったボール(埋まったボール): ジェネラルエリア(フェアウェイ、ラフなど)でボールが自身のピッチマークに埋まっている場合。2019年の改定でラフでも救済が受けられるようになりました
- 異常なコース状態(一時的な水たまりなど): 雨で一時的にできた水たまり(カジュアルウォーター)にボールがある場合や、スタンスがかかる場合
- 動物の穴: モグラやウサギなどの動物が掘った穴にボールが入った場合、またはスタンスやスイングに影響する場合
救済の基本手順(ニヤレストポイント方式)
手順は、ほとんどの無罰救済で共通しています。
ニヤレストポイントを決める
障害物の影響を避けられる、ホールに近づかない最も近い地点。ここが「完全な救済のニヤレストポイント」です。
救済エリアを決める
ニヤレストポイントから1クラブレングス以内、ホールに近づかない範囲が救済エリアです。
膝の高さからドロップ
救済エリア内に、膝の高さからボールをドロップします。
ボールが救済エリア内に止まればOK
ドロップしたボールが救済エリア内に止まればプレー再開。エリア外に転がった場合は再ドロップ。2回目も外に出たら、2回目にボールが最初に地面に落ちた場所にプレース。
ニヤレストポイントは「自分が打ちたい場所」ではなく、「障害を避けられる最も近い地点」です。カート道の左側のほうがライが良くても、右側のほうが近ければ右側がニヤレストポイントになります。
状況別の詳しい解説
同じ無罰救済でも、場面ごとに条件が少しずつ違います。よく出会う順に確認しておきましょう。
カート道路からの救済
最もよくある無罰救済の場面です。
救済を受けられる条件:
- ボールがカート道路の上にある
- カート道路がスタンス(足の位置)にかかる
- カート道路がスイング区域にかかる
ポイント: スタンスがカート道にかかるだけでも救済を受けられます。ボールがカート道の上になくても、構えたときに足がカート道に乗るならOKです。
修理地からの救済
白線で囲まれた修理地や、「GUR」の看板がある場所にボールが入った場合。
注意点:
- 白線で囲まれていない場合でも、明らかにコース整備中の場所はマーシャルや同伴者と確認して修理地として扱えることがある
- 修理地内のボールはそのまま打つことも可能(無罰で打つ or 無罰で救済)
刺さったボール(埋まったボール)
ボールが自身の落下でできたピッチマーク(くぼみ)に埋まっている場合。
2019年改定のポイント:
- 改定前: フェアウェイ(短く刈られた区域)のみで救済
- 改定後: ジェネラルエリア全体(ラフを含む)で救済が可能に
手順: ボールの直後にマークし、ボールを拾い上げて清掃。元のボール位置から1クラブレングス以内にドロップ。
一時的な水たまり(カジュアルウォーター)
雨の後にできた一時的な水たまりにボールがある場合や、アドレスしたときに足元に水がにじみ出る場合。
ポイント: あくまで「一時的な」水たまりが対象です。常設の池や川はペナルティエリアなので、別のルール(規則17条)が適用されます。
無罰救済を受けられないケース
一方で、救済を受けられそうに見えて対象外、というケースもあります。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 木の根元にボールがある | 自然の障害は「あるがまま」 |
| ディボット跡(前の人が削った跡) | コースの通常の状態とみなされる |
| ペナルティエリア内の障害物 | ペナルティエリア内では通常、無罰救済なし |
| バンカー内の一時的な水たまり | 救済はバンカー内。バンカー外へ出すなら1打罰 |
ディボット跡にボールが止まると理不尽に感じますが、これはルール上「コースの通常の状態」。あるがままに打つしかありません。
バンカー内に一時的な水たまりがある場合、無罰の救済はバンカー内に限定されます。バンカー外にドロップしたい場合は1打罰が必要です(規則16.1c)。
「動かせる障害物」と「動かせない障害物」
動かせる障害物(無罰で移動可能)
- 空き缶、ゴミ
- 距離測定用の杭(抜ける場合)
- バンカーレーキ
- コースに置かれた備品(動かせるもの)
これらはボールの近くから取り除くことができます。取り除く際にボールが動いたら、元の位置にリプレース(無罰)。
動かせない障害物(ドロップで救済)
- カート道路
- スプリンクラーヘッド
- 排水溝のフタ
- 固定されたベンチや看板
これらはニヤレストポイント方式で救済を受けます。
まとめ
無罰の救済の対象は、カート道・修理地・刺さったボール・一時的な水たまり・動物の穴が主なところ。手順は「ニヤレストポイント→1クラブレングス→膝の高さからドロップ」で共通です。ひとつだけ注意するなら、ニヤレストポイントは「最も近い」地点であって「打ちたい場所」ではない、という点でしょう。
ルールは制限するためだけのものではありません。正しく知っていれば、スコアを守る側に働いてくれます。
参考文献・データについて
本記事のルールはR&A/USGAゴルフ規則に基づいています。動かせない障害物からの救済は規則16.1、修理地からの救済は規則16.1、刺さったボールの救済は規則16.3、ペナルティエリアは規則17条を参照してください。2019年改定で刺さったボールの救済範囲がジェネラルエリア全体に拡大されました。
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