- 同じ7番でも表示ロフトはモデルや年代で違う。番手は距離の約束ではなく、ただの連番
- コースで必要なのはキャリー。練習場で見ているトータルと混同すると、ちょうどハザードに落ちる
- 芯を外すと1番手ぶん落ちると言われる。実測距離は会心の1球ではなく中央値で作る
- ロングアイアンは番手間の距離が詰まりやすい。詰まった番手はユーティリティに置き換える
手前のバンカーに集まる球
残り150ヤード。7番なら150のはずが、球はグリーン手前のバンカーへ。次のパー3でも手前。1日の終わりに数えてみると、アイアンのミスのほとんどがショートだった。こういうラウンドに覚えがあるなら、疑う相手はスイングより先に、150という数字のほうです。
私も長いこと手前のバンカーに入れ続けていました。自分の7番のキャリーを10ヤード多く見積もっていただけで、スイングは特に悪くなかったのです。
番手通りという思い込み
7番アイアンという名前に、距離の約束は含まれていません。番手はただの連番で、距離を決めているのはロフト角、つまりフェースの傾きとシャフトの長さです。そしてこのロフトが、メーカーやモデル、発売された年代でまるで違います。
飛び系と呼ばれるアイアンを中心にロフトを立てる流れが続いていて、いまの7番には、ひと昔前の5番や6番に近いロフトのものもあるそうです。同じ7番という名前でも、モデル次第で1〜2番手ぶん違う距離が出る。同伴者と番手を比べて一喜一憂するのは、単位の違う数字を比べているようなものです。
私はアイアンを買い替えたとき、どの番手も1つ飛ぶようになったと素直に喜んでいました。あとでロフトの仕様表を見たら、前のセットより立っていただけ。おまけにウェッジとの間隔が空いて、50ヤード前後の中途半端な距離がかえって難しくなりました。飛ぶこと自体は得でも損でもありません。自分の距離を知らないことだけが損です。
キャリーとトータルの混同
もうひとつの定番が、キャリーとトータルの取り違えです。練習場で覚えた7番150ヤードは、たいてい落ちて転がった後のトータルの数字。ところがコースでグリーンを狙うときに要るのは、空中を運ぶキャリーのほうです。手前のバンカーや池は転がして越えられないので、トータルで届く計算のクラブを選ぶと、ちょうどハザードに落ちます。
キャリーとランの差は番手が大きいほど広がります。測り方の基本は自分の正確な飛距離を知る方法にまとめてあるので、この記事では番手表示にまつわる落とし穴に絞ります。
当たり方とライで消える距離
ロフトが同じでも、同じ距離が出るとは限りません。距離を削っている犯人はだいたいこのあたりです。
芯については、毎回芯に当たる前提を捨てるところからです。アマチュアの実戦の距離は、芯を外した球も込みの平均で決まります。だから距離表は会心の1球ではなく中央値で作る。
入射角はアイアン特有の話です。アイアンはボールの先の芝を薄く削るくらい、やや上から入るのが基本の当て方で、下からすくい上げると打ち出しばかり高くなってキャリーが落ちます。番手を上げても距離が変わらない人は、まずここを疑ってください。
打ち上げや打ち下ろしで表の距離がそのまま使えない問題もありますが、高低差の補正は打ち上げホールの攻略と打ち下ろしホールの攻略に譲ります。
実測距離の作り方
練習場の数字をコースに持ち込む前に、条件の違いを3つ知っておく必要があります。練習場のボールはコースボールより飛ばないものが多いと言われること。マットの上ではダフリがごまかされて、実力より距離が出ること。そして距離表示です。練習場にはヤード表示とメートル表示があり、ここを取り違えると距離表がまるごとずれます。
だから実測の正典はコースです。作り方は難しくありません。
コースで残り距離から逆算する
打つ前にカートナビか距離計で残り距離を見ておき、打った後に着弾地点の残りとの差を取ります。対象はフェアウェイからの、まあまあの当たりだけ。ラフや傾斜の球を混ぜると表が汚れます。
番手ごとに10球ぶん貯めて中央値を取る
1ラウンドで貯まる番手は少ないので、数ラウンドかけて構いません。最高記録は捨てて、真ん中の数字を採用します。飛ばなかった球にも1票あるのが実戦の距離です。
キャリーとトータルを分けて表にする
グリーンを狙う番手はキャリー、ランまで使う番手はトータルで書いておきます。表はスコアカード入れかスマホのメモに。ラウンド中に見られない表は無いのと同じです。
コースの実測を正としたうえで、練習場は打点のばらつきや番手間の間隔を見るのに使うと役に立ちます。距離の絶対値だけは、練習場を信用しないでください。
番手間の距離が詰まる問題
理屈の上では、隣り合う番手は10〜15ヤードずつ離れているはずです。ところが実測してみると、5番と6番がほぼ同じ距離だった、ということがよく起きます。ヘッドスピードが足りないと、ロフトを立てても打ち出しが低くなるだけでキャリーが伸びなくなるからだそうです。
距離の変わらない番手を2本持ち歩くのは、14本の枠の無駄づかいです。実測表で間隔を確かめて、詰まっているロングアイアンはユーティリティに置き換える。セット全体の間隔の整え方はロフト角のギャップ最適化に書きました。
よくある質問
7番アイアンで何ヤード飛べば平均的ですか
その比較には、あまり意味がありません。表示ロフトがモデルで1〜2番手ぶん違う以上、同じ7番という名前で他人と距離を比べても条件が揃わないからです。比べるなら他人の7番ではなく先月の自分の7番。実測表を更新し続けるほうがスコアに効きます。
冬になると飛ばなくなるのは気のせいですか
気のせいではありません。気温が下がるとボールは飛ばなくなると言われますし、厚着で体も回りにくくなります。冬は半番手から1番手大きめを持ってちょうどよいくらいで、夏に作った実測表をそのまま使わないほうが無難です。
ストロングロフトのアイアンに買い替えれば解決しますか
キャリーの階段が1段ずれるだけで、階段の形は変わりません。番手の数字が若返ったように見えて、ウェッジとの間隔が空くという別の問題が生まれることもあります。買い替えを考える前に、いまのセットの実測表を作るほうが先です。
まとめ
番手通り飛ばないのは、たいていスイングのせいではありません。番手という名前に距離の約束が無いだけです。表示ロフトはモデルごとに違い、練習場で覚えた数字はトータルで、コースで要るのはキャリー。このずれを埋める道具が実測表です。
コースの残り距離から逆算して、中央値で作る。間隔の詰まった番手はユーティリティへ。表がそろうと、残り150ヤードは不安な距離ではなく、ただの自分の6番なり7番の距離になります。
参考文献・データについて
本記事の数値は、ヤードとメートルの換算(1ヤード=0.9144メートル)を除き、コーチングの現場で使われている目安で、特定の調査データに基づくものではありません。表示ロフトの傾向もモデルによって幅があるため、正確な数値はお使いのクラブの仕様表で確認してください。
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