- 遅れが出るのは、打つ前の準備と、球を探す時間と、カート移動と、グリーンの4か所
- 規則5.6bの目安は、打てる状態になってから40秒。実際はもっと短くて足ります
- レディゴルフ(規則6.4b(2))は声かけとセットで使う。無言で振り始めない
- 位置は前の組との間隔で測る。パー4が丸ごと1ホール空いたら遅れている
- ボール捜索は3分まで。怪しいと思った時点で暫定球を打つほうが結局速い
4時間半のうち、自分が打っている時間
90で回った日を思い出してください。ショットとパットで90回。構えて打ち終わるまでを1回10秒とすると、合計15分です。
残りの4時間以上は、歩くか、乗るか、待っています。
だからプレーが速い人は、スイングも歩きも特別に速くありません。削っているのは待ち時間のほうです。ここが分かると、プレーファストの話は急に気楽になります。走らなくていい。
自分の得も、けっこうあります。組の進行が詰まるとティーグラウンドで5分立ち尽くす場面が増えて、体が冷えて、リズムが崩れて、後ろの組の視線が刺さる。あの状態で打って良かった記憶が私にはありません。
打つ前の準備
順番が回ってきてから距離を測り、クラブを抜き、素振りを2回。これで1打あたり1分半かかります。90打を単純に掛ければ2時間を超える計算です。実際は他の人が打っている時間と重なるので、まるまる遅れるわけではありません。それでも、削れる幅はここにあります。
自分の番より前に済ませておく。それだけで足ります。カートを降りたら、自分の球へ歩きながら残り距離を見る。同伴者が打っている間にクラブを決めて、素振りは1回で十分です。順番が来たら構えて打つ。
素振りを2回する人が悪いという話ではありません。ただ、その2回を自分の番が来てからやるか、待っている間に済ませておくかで、組全体の体感がまるで変わります。私は後者に変えただけで、ハーフの詰まり方がだいぶ楽になりました。
ボール探しの3分と、その前の10秒
探せる時間の上限は3分です(規則18.2)。2019年に5分から短縮されました。
ただ、3分を守っていてもラウンドは遅れます。差がつくのは、打った直後の10秒のほうです。
- 打球を最後まで目で追う。曲がった瞬間に目をそらさない
- 落ちたあたりの目印を1つ決める。木でも、バンカーの角でも、カート道の切れ目でもいい
- 同伴者に「あの松の右あたり」と口に出す。自分の記憶より他人の記憶のほうが正確なことがよくあります
それでも怪しいときは、その場で暫定球です。「暫定球を打ちます」と宣言してもう1球打っておく。宣言を忘れると打ち直しの球として扱われて、元の球が見つかっても戻れません。この処置と打数の数え方は罰打の数え方で整理しています。
見つからなかったときにティーへ引き返さずに済むので、進行への効き目はこの1球が飛び抜けています。3分探して見つからず、そこから200ヤード戻る組を後ろから見ているのは、正直つらいです。
4人全員で探し始めると、全員の準備が止まります。打った本人と、落下地点を見ていた1人。この2人でいい。残りは自分の球のところまで進んで、打てる状態を作っておく。
カートの動かし方
日本のコースはカート移動が基本なので、ここの動き方は素直に時間へ跳ね返ります。
とくに最後の行です。グリーン手前にカートを置くと、ホールアウトした4人が全員逆走します。出口側に置いてあれば、そのまま次のティーへ流れる。停車位置の細かい作法はカートの使い方にまとめました。
自分が運転する日は、同伴者が打つ前にキーを抜いておく。エンジンの音は思っているより響きます。
グリーンに上がってから
グリーンは1ホールの中でいちばん時間のかかる場所です。読んで、待って、打って、外れたらまた読む。この繰り返しが4人分あります。
上がる前に傾斜の当たりをつける
グリーンへ歩いている最中に、全体がどちらに落ちているかを見ておきます。乗ってから読み始めると、その分だけ全員が止まります。
他の人が打っている間に自分の準備を終える
自分のラインを読むのは他の人のパットの間。順番が来たら、構えて打つだけの状態にしておきます。
1メートル以内は続けて打つ
1メートルを外してマークし、順番を待ってからまた構える。この手間が積み上がります。同伴者のラインを踏まないなら、そのまま打ち切るほうが速いですし、たいてい入ります。
カップインしたら旗竿を戻して外へ出る
グリーン上で立ち話をしない。スコアの確認は次のティーで。
スコアの記入も、グリーンを離れてからにしてください。スマホでも紙でも同じです。グリーン上で4人分の打数を数え直していると、後ろの組はセカンド地点で待つことになります。
レディゴルフの使い方
遠い人から打つのが原則ですが、ストロークプレーでは準備できた人から打っていいと規則6.4b(2)に書かれています。安全かつ責任ある方法で、という条件付きです。
この条件のほうが本体です。順番を飛ばすなら、前方の確認と声かけをセットにする。「先に打ちます」の一言があれば同伴者は身構えられますが、無言で振り始める人が1人いると、全員が落ち着かないまま18ホール回ることになります。
使いどころはこのあたり。
- ティーで後ろの組が待っているとき。オナーを待たずに準備できた人から
- フェアウェイで、遠い人がカートへクラブを取りに戻っているとき
- グリーン周りで、寄せる人がライを確認している間に、遠いパットの人が先に打つ
競技では原則どおりの順番を求められる場面もあるようです。仲間内のラウンドなら、1番ホールで「今日はレディゴルフでいきましょう」と決めておくと、その後がずっと楽になります。
前の組との間隔
自分たちが遅れているかどうかは、後ろの組との距離では測れません。R&Aが出しているペースオブプレーの手引きにも、見るべきは前の組との位置関係だと書かれています。後ろが詰まって見えても、前がそもそも遅ければ、自分たちは悪くない。
基準は、前の組との間にパー4が丸ごと1ホール空いていないかどうか。
- 前の組がグリーンを離れる頃に自分たちがセカンド地点にいる。だいたい適正です
- 前の組が次のホールのグリーンにいて、自分たちはまだティー。1ホール分の遅れです
遅れに気づいたら、組の全員で取り返します。1人が急いでも埋まりません。どうしても戻せないなら、後ろの組に先に行ってもらう。恥ずかしいことでもなんでもありません。私も一度、林の中で3人分の球を探して完全に置いていかれた日に後ろの組を通しました。気まずいのは30秒で、そのあとは静かに回れました。
進行の段取りが整うと、あとは同伴者への気配りの話になります。ナイスショットへの一言や昼食休憩の使い方は同伴者との過ごし方にまとめました。
まとめ
プレーファストは、打つまでの待ちを短くする段取りの話です。
準備は自分の番の前に。球の行方は最後まで目で追い、怪しければ暫定球。カートは出口側へ。グリーンでは上がる前に読み始めて、短いパットは続けて打つ。位置は前の組で測る。
全部そろえば、ハーフの窮屈さは薄れます。浮いた時間はそのまま自分たちの余裕になって、最終ホールで日没と競争せずに済む。同伴者のためというより、自分が気持ちよく回るための工夫だと思っています。
参考文献・データについて
この記事のルール解説は、R&AとUSGAによる2023年改訂のゴルフ規則に基づいています。1打40秒の目安は規則5.6b、レディゴルフは規則6.4b(2)、ボール捜索3分は規則18.2の記載です。前の組との位置関係の考え方は、R&Aのペースオブプレー・マニュアル(プレーヤーの行動)を参考にしました。プレー時間の基準や休憩の運用はコースごとに異なるため、当日の案内に従ってください。
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