- ラフの深さによって使うクラブと打ち方が大きく変わる
- 浅いラフ(ボールが半分以上見える)なら通常に近いショットが可能
- 深いラフ(ボールが沈んでいる)はまず脱出を優先。欲張らない
- ラフから150ヤード以上残ったら、狙い先をピンから花道へ下げる。8割はグリーン手前に外れる
- ラフで最も多いミスは「距離を欲張ってクラブ選択を間違える」こと
ラフに入った瞬間、何を考えるか
ティーショットがフェアウェイを外れてラフへ。「やばい」と思いながらボールのところに行くと、芝に埋まっている......。
ラフからのショットが苦手な人は多いのですが、原因の多くは技術ではなく判断にあります。ラフの状態を正しく見極めて、適切なクラブを選ぶ。それだけで、ラフからでもスコアを崩さずに済みます。
扱うのは、どこを狙って何番を持つかという判断のほうです。構えや振り方そのものは、ここでは深追いしません。
まずラフの「深さ」を見極める
ラフからのショットで最初にやるべきことは、ボールの状態の確認です。ラフの深さは3段階に分けて考えます。
- 浅いラフ(ボールの半分以上が見える): セミラフやファーストカットとも呼ばれる状態。フェアウェイからのショットに近い対応が可能
- 中程度のラフ(ボールの上部だけ見える): クラブの選択と打ち方に工夫が必要
- 深いラフ(ボールがほぼ見えない): 脱出が最優先。距離を欲張ると大怪我する
浅いラフからのショット
ボールの半分以上が見える浅いラフなら、フェアウェイからのショットに近い打ち方ができます。
クラブ選択
- ほぼ通常通りのクラブでOK
- ただしフライヤー(ボールとフェースの間に芝が挟まり、スピンが減って飛びすぎる現象)に注意
- 長い番手(5番以下)もそこそこ使える
打ち方のポイント
- 通常のスイングでOK
- ボールをやや右寄りに置くと、クリーンにヒットしやすい
- フライヤーを考慮して、ターゲットの手前に着地する計算で
ラフからのショットでボールとフェースの間に芝が挟まると、バックスピンが減少します。結果、ボールが通常より飛びすぎ、グリーンで止まりにくくなる。特に7〜9番アイアンで顕著。浅いラフでも起こるので注意が必要です。
中程度のラフからのショット
ボールの上部だけ見える状態。ここからが「ラフらしいラフ」です。
クラブ選択
- ロングアイアン(5番以下)は避ける。芝の抵抗に負けてヘッドが回る
- 7番〜9番アイアンが現実的な選択
- ユーティリティやFWウッドは芝に潜りやすく、避けた方が無難
- 残り距離が長い場合は、2回に分けてフェアウェイに戻す判断も
打ち方のポイント
- ボール位置をやや右寄りに
- ハンドファーストを強めに
- 上から鋭角にクラブを入れる(ダウンブロー意識)
- 芝の抵抗でフェースが左を向くので、やや右を狙う
深いラフからのショット
ボールがほぼ見えない深いラフ。ここからは脱出が唯一の目標です。
クラブ選択
- SW(サンドウェッジ)またはAW(アプローチウェッジ)一択
- ロフトが大きいクラブほど芝の抵抗に負けにくい
- 「とりあえず前に出す」と割り切る
打ち方のポイント
- フェースをやや開く(芝に負けてフェースが閉じるのを相殺)
- 急角度にクラブを上げて、上から叩く
- 力強く振り抜く。芝の抵抗が大きいのでしっかり振ること
- ボールは右足寄り
ボールの状態を確認
ボールがどのくらい沈んでいるか、芝の方向(順目か逆目か)を確認。
脱出ルートを決める
「フェアウェイに出す」「グリーン方向に少しでも近づける」などの目標を設定。グリーンは狙わない。
SWを選んで思い切り振る
中途半端なスイングが一番危険。芝の抵抗に負けて全く飛ばなくなる。しっかり振り抜くこと。
深いラフから200ヤード先のグリーンを狙う。これは「英雄ショット」と呼ばれ、結果は悲惨になることがほとんど。脱出に1打使って、次にフェアウェイから打つ方がトータルスコアは良くなります。
ラフに関する戦略的な考え方
ラフの「順目」と「逆目」
芝がターゲット方向に倒れている「順目」は比較的打ちやすい。逆に芝がターゲットと逆方向に倒れている「逆目」は抵抗が大きく、飛距離がかなり落ちます。
順目か逆目かは、芝の光沢で判断できます。芝が光って見えるのが順目、暗く見えるのが逆目。
夏と冬でラフの難易度は変わる
夏場は芝が伸びてラフが深くなり、粘りも強くなる。冬場は芝が枯れてラフが浅く、抵抗も小さい。季節に応じた判断も重要です。
「ラフに入れない」のが最善の戦略
当たり前ですが、ラフに入れないことが最善。ティーショットでドライバーにこだわらず、フェアウェイに置けるクラブを選ぶのも立派な戦略。
実際の画面ゴルスコでは、この内容を「ショートゲーム分析」の画面で見られます。

狙う距離と、諦める距離
深さで番手を絞ったら、次は残り距離を見ます。ここを飛ばすと、正しい番手で無謀な距離を狙うことになります。
Shot Scopeがアマチュアのショットを集めたデータでは、ラフから150〜210ヤードを打ったとき、81%がグリーン手前に外れています。4.5メートル以内に寄るのは2.4%。届かないのが普通、という距離帯です。ただ、フェアウェイからでも73%はショートしているので、ラフのせいだけではありません。この距離そのものが、アマチュアには遠い。
50〜150ヤードだと話が変わります。ラフからホールアウトまで平均3.6打、フェアウェイからは3.46打。差は0.14打です。この距離帯のラフは、そこまで身構える場所ではないです。
番手を補正してから決める
線の引き方は単純です。残り距離に、ラフのぶんの補正を足す。中程度のラフなら1〜2番手、10〜20ヤードくらいでしょうか。残り150ヤードで普段7番の人なら、実質170ヤード。手が伸びるのは5番アイアンあたりです。
そこで一度止まって、その5番アイアンがフェアウェイからでも何回に1回乗るかを思い出してください。クラブ別パーオン率分析で見たとおり、多くのアマチュアは150ヤードを境にパーオン率が急落します。10回に1〜2回のクラブなら、ラフからはさらに下がる。補正後の番手が自分の苦手な帯に入った時点で、グリーンは諦めどきです。
諦めるといっても、刻めという話ではありません。数字を並べると、170ヤードのラフから直接打ってホールアウトまで残り4.1打。100ヤードまで刻む場合は、その1打に3.46打が続いて4.46打。平均だけ見れば、刻んだほうが損をします。刻みが効くのは、深いラフや林、池が視界に入っているとき。それと、補正後の番手が芝に負ける長さになったときです。中程度のラフから5番アイアンを振り回すくらいなら、9番でフェアウェイに戻したほうが速い。
ボールが浮いていて、その番手を普通に振れるなら、狙い先だけ手前にずらすのが正解です。ピンを見ないで、花道の平らなところに運ぶ。乗ればもうけ、外しても寄せワンのチャンスは残ります。私はこの狙い方に変えてから、ラフ絡みのトリプルボギーがほとんど消えました。
ここまではボールが沈んでいないラフの話です。すっぽり隠れているなら、距離の計算より先に脱出してください。
外す側を先に決める
さっき、ラフに入れないのが最善だと書きました。ただ、フェアウェイキープ率はそもそも上げにくい指標です。PGAツアーの平均でも61%前後、平均スコア90台(HC20)のゴルファーでは、Shot Scopeの計測で41%。プロが4割外すものを、ゼロにする前提で作戦は組めません。
守るべきは深いラフのほうです。Par4の平均スコアで比べると、フェアウェイ4.6打に対してラフ5.0打。深いラフや林に入ると5.6打まで伸びます(FIR(フェアウェイキープ率)の目標値と改善法で扱った数値)。ラフに外した代償は0.4打、深いラフだと1.0打。線を引くならここです。
やることはひとつ。ティーイングエリアで、外すならどちら側かを先に決めておく。ラフの刈り方が左右で違うホールは多くて、林が迫っている側はファーストカットが狭く、開けている側は浅い帯が広く取ってあります。前のホールを歩きながら見ておけば、ティーで迷いません。
グリーンを狙うショットも同じで、外すなら手前です。奥のラフは、下りのアプローチと深い芝がまとめて来ます。
同じコースを何度か回るなら、どのホールのどちら側が深いかをメモしておくと効きます。ラフの深さは季節で変わりますが、刈り分けの形はそう変わりません。
ラフの深さ別:判断チャート
迷った時はこのチャートで判断しましょう。
- 浅いラフ → 通常に近いクラブ選択。フライヤー注意。グリーンを狙える
- 中程度のラフ → 短い番手(7番以上)で。距離があればフェアウェイに出す判断も
- 深いラフ → SW/AWで脱出一択。次のショットで勝負する
実際のラウンドではラフと傾斜が重なる場面も多いので、傾斜地からの4パターンの打ち方もセットで押さえておくと判断に迷いません。
まとめ
ラフからのショットは判断が9割です。まずボールの沈み具合で浅い・中程度・深いの3段階を見極める。深いほど短い番手、つまりロフトの大きいクラブを選び、深いラフなら脱出最優先。浅いラフでは、フライヤーで飛びすぎることだけ頭に入れておきます。そこに残り距離を重ねます。150ヤードより遠ければ、狙い先はピンから花道へ。
1打で取り返そうとせず、2打でどうリカバリーするか。冷静な判断ができれば、ラフに入ってもスコアは守れます。高低差のあるホールでも同じように判断が肝心なので、打ち下ろしホールの距離補正とマネジメントもあわせて読んでみてください。
参考文献・データについて
本記事のクラブ選択の目安やラフの深さの分類は、一般的なゴルフコーチングの知見に基づいています。距離帯別のショット結果、ティーショットの結果別Par4平均スコア、フェアウェイキープ率の数値は、Shot Scopeの公開データを参照しました。ラフの状態はコースや季節、天候により大きく異なるため、実際の判断は現場の状況に応じて行ってください。
- Shot Scope「Is there such a thing as a good miss?」 shotscope.com
- Shot Scope「Analysing Driving Accuracy」 shotscope.com
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