- テキサスウェッジはグリーンの外からパターで寄せること。名前はウェッジでも、握るのはパター
- 機能するのは乾いた順目の花道とカラー。ラフ越え、逆目、朝露の日は選ばない
- 距離感は芝の抵抗分の足し算。グリーン上の2〜3割増しを出発点に、自分の換算率を作る
- 入れる球ではなく寄せる球。プロでも7.6m超のパットは5%台しか入らない
テキサスウェッジという言葉
グリーンの外からパターで転がして寄せることを、テキサスウェッジと呼びます。乾燥して硬いテキサスのコースでは芝が薄く、グリーン周りでもパターの転がしが一番計算できたから、という由来を聞きますが、はっきりした出どころは分かりません。名前の響きは大げさでも、中身はただの長いパットです。
そして、ただの長いパットのわりに、使う人が少ない。エッジの外でパターを構えるのが逃げに見える、という理由で敬遠されている気がします。もったいない話で、この技術の取り柄はミスの安さにあります。ダフリに相当する失敗をしても、ボールは数十センチ手前で止まるだけです。
パターか、転がしか、上げるか。その入口の決め方は花道とカラーからの寄せの選び方に書きました。この記事は、パターで行くと決めた後の話です。
機能するライ、しないライ
テキサスウェッジの成否は、打つ前にほぼ決まっています。ボールからエッジまでの芝が読めるかどうか、それだけです。
順目と逆目は、芝の倒れている向きのことです。ピン方向に倒れていて白っぽく光って見えれば順目、こちらに向かって濃い緑に見えれば逆目、と見分けるのが通例のようです。逆目は転がりへの抵抗が強く、パターの弱い球はてきめんに失速します。
朝露には私も授業料を払いました。この打ち方を覚えたての頃、朝イチのホールで前日の午後と同じ強さで転がして、5歩ショート。露に濡れた花道は、見た目が同じでも別のコースだと思ったほうがいいです。
条件が欠けたときは、パターで粘らず転がしに切り替えます。上げるか転がすかの判断ごと見直したいときはピッチショットとチップショットの使い分けへどうぞ。
打ち方の目安
距離感から。芝の上を通る分だけ、グリーン上の同じ距離より強く打ちます。よく聞く換算は、花道やカラーの1歩をグリーン上の2歩に数える、あるいは全体を2〜3割増しで打つ、というあたりです。出発点としては十分ですが、正解はその日の芝が決めます。だから次の節の練習で、自分の換算率を作ります。
構えは通常のパットとほぼ同じで、変えるのは2ヶ所の目安だけです。ボールを半個ぶん右足寄りに置き、ハンドファースト気味(グリップの位置をボールより目標側に寄せた構え)にする。こうするとわずかに上から当たって、打ち出し直後の芝で跳ねにくくなると教わることが多いようです。
ストロークで変えるのは振り幅だけ。強く打とうとして手首を使うと、フェースの向きも距離も一緒に壊れます。長く引いて、長く出す。グリーン上の10メートルのパットと同じ体の使い方で、振り幅だけを伸ばしていく感覚です。
テキサスウェッジ用に別の打ち方をこしらえると、グリーン上のパットの距離感まで連れて壊れます。変えていいのはボール位置と振り幅まで。ストロークそのものは1種類に保ってください。
ラインの読みにはひとつ追加があります。カップまでのラインを、エッジからではなくボールから読むこと。芝区間にも傾斜と目があるので、花道で右に流れてからグリーンに乗る球は、グリーン上だけ読んでも合いません。
練習の手順
グリーン上で基準の振り幅を作る
練習グリーンで5歩と10歩の距離を打ち分けて、それぞれの振り幅を体に覚えさせます。テキサスウェッジは足し算の技術なので、足す前の基準がずれていると話が始まりません。距離感の作り方そのものはパッティングの距離感を鍛える科学的アプローチが詳しいです。
カラーの外1歩から換算率を測る
同じカップを、今度はカラーの外1歩から狙います。グリーン上の感覚のままだと、たいていショートするはずです。何割増しで打てばちょうど届くのか、10球ほど転がして自分の換算率を掴みます。2割増しの人もいれば4割の人もいて、ここは他人の目安が役に立ちません。
芝区間を伸ばして、限界距離を見つける
花道の方向へ1歩ずつ下がりながら同じことを繰り返すと、どこかで急に距離が散らばり始めます。そこがその日のパターの限界で、それより遠くは転がしの距離です。この限界距離を知っていること自体が、コースでの3択を1秒で終わらせてくれます。
練習グリーンの外周が使えないコースもあります。その場合はラウンド前にカラーの外から数球だけ。換算率の確認はそれで足ります。
エッジからの距離別の考え方
エッジまで1歩以内、つまりカラーの上なら、考えることはほぼありません。グリーン上のパットに1歩ぶん足すだけです。
エッジまで2〜5歩の花道が、テキサスウェッジの主戦場です。ライの表に照らして条件が揃っていればパター、欠けていれば転がし。ここで効いてくるのがピンの位置で、ピンが奥にあるほど、全体に占める芝区間の割合が下がって誤差が薄まります。手前に切られたピンは、見た目より難しい注文です。
エッジまで10歩を超えたら、私は転がしに持ち替えます。芝区間の読み違いがそのまま距離の誤差に乗るので、この距離のパターは博打の色が濃くなります。
そして狙いの話。この技術は入れる球ではなく、寄せる球です。
golf.comが紹介しているPGAツアーの集計では、7.6メートルを超えるパットのカップイン率は5.45%。一方で90センチまで寄れば99.4%入るそうです。テキサスウェッジの仕事は、この99%の距離までボールを運ぶことで、カップはついでです。怖いのはむしろ、寄せきれずに3パット圏内へ残すほう。ファーストパットの質と3パットの関係は3パット分析にまとめてあります。
よくある質問
グリーンの外でパターを使うのは下手に見えませんか?
見た目の問題なら、ザックリのほうがよほど目立ちます。風の強いリンクスコースでは、プロがグリーンのかなり手前からパターで転がす場面が中継に映ることもあるそうです。恥ずかしい技術ではありません。スコアカードに打ち方の欄はなく、残るのは数字だけです。
どのくらい遠くまでパターで行けますか?
一律の上限はなく、芝の上を転がる距離で決めるのが実用的です。目安はエッジまで10歩。それを超えたら転がしに切り替えます。ただしこの数字は芝と腕前で動くので、練習の手順の3つ目で自分の限界距離を測っておくのが一番確実です。
普段のパター練習と分けて練習すべきですか?
分けなくていいです。ストロークは通常のパットと同じものを使うので、いつものパット練習がそのまま土台になります。足すのは換算率の確認だけで、ラウンド前の練習グリーンで数球転がせば足ります。
まとめ
テキサスウェッジは、乾いた順目の花道とカラーで使う、芝の抵抗を足し算した長いパットです。ラフ、逆目、朝露のどれかがあれば使わない。構えの変更はボール半個とハンドファースト気味まで、ストロークは1種類のまま振り幅で調整する。そして狙いはカップではなく90センチの円です。パターか転がしか上げるかという入口の判断は、冒頭に挙げた姉妹記事とあわせてどうぞ。
参考文献・データについて
距離別のカップイン率は、golf.comが紹介しているPGAツアーの集計を参照しています(フィートからメートルへの換算は概数)。距離感の換算率や構えの目安は一般的なコーチングで語られる内容で、統計的な裏づけのある数値ではありません。テキサスウェッジの語源も定説として断定できるものではなく、俗説として紹介しています。
- golf.com「PGAツアーの距離別カップイン率」 golf.com
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