- 花道とカラーからの寄せは、パター、転がし、上げるの3択でまず考える
- 見る順番は、ボールとピンの間にあるもの、ライ、距離、自分の得意
- 迷ったらミスの幅が一番小さいクラブ。多くの場合それはパター
- 寄せの目標はピンインではなく1.8メートルの円。そこに運べば次の1打は8割以上入る
花道とカラーというエリア
2打目がわずかに届かず、グリーン手前の短い芝の上。悪くない位置です。悪くない位置なのに、ここから4打かかる日があります。
花道は、グリーン手前でガードバンカーの間に伸びる、フェアウェイと同じ高さに刈り込まれた通り道のことです。手前から転がして乗せられるように残されたルートで、多くのコースで2打目や3打目の逃げ場になっています。カラーはグリーンの外周をぐるりと囲む幅数十センチの帯で、グリーンより少しだけ長い芝。エプロンやフリンジと呼ぶ人もいます。
どちらもライとしては最上級です。芝は短く、足場は平ら、ボールは浮いている。それでもザックリ(クラブが手前の芝に刺さるミス)やトップが出るのは、腕のせいというより、クラブ選びの時点で難しい球を選んでいるからです。ここからの寄せは、技術の問題である前に選択の問題です。
3つの選択肢
ひとつめはパター。グリーンの外でも使えます。グリーン外からのパターはテキサスウェッジと呼ばれていて、ミスしても上下方向の事故が起きないのが取り柄です。ダフっても数十センチ手前で止まるだけ、強すぎても奥のカラーまで。打ち方と距離感の作り方はテキサスウェッジの打ち方に分けてまとめました。
ふたつめは転がし。PWや8番で低く出して、あとはパターと同じ転がりで寄せる球です。間に少しだけ越えたい芝があるときの主役で、打ち方はチップショットの基本にあります。
みっつめが上げる球。SWやAWのキャリーで運びます。バンカー越えのように、転がすルートが存在しないときの手段です。転がしと上げる球の線引きはピッチショットとチップショットの使い分けで扱ったので、この記事では3択の入口だけを整理します。
選び方の順番
見る順番を決めておくと、迷う時間が減ります。
最初に見るのは、ボールとピンの間にあるもの。ラフの帯、バンカー、マウンド、スプリンクラーの跡。転がりを邪魔するものが何もなければ、パターが候補の筆頭に残ります。逆に、どうしても越えなければいけないものがあるなら、その時点で上げる球に決まりです。ここで迷う余地はありません。
次にライ。正確には、ボールからグリーンまでの芝の状態です。乾いた順目ならパターの転がりは計算できますが、朝露で濡れていたり、逆目(芝がこちらに向かって倒れている状態)だったりすると、パターは急に読めなくなります。そういうときは転がしに切り替えて、読めない芝の上を1バウンドで越えてしまうほうが楽です。
3番目がピンまでの距離。正しくは、芝の上を転がる距離の長さです。エッジまで2〜3歩ならパターの独壇場ですが、花道を10歩も転がすとなると、芝の抵抗の読み違いがそのまま距離の誤差になります。遠いほど、キャリーで芝区間を飛ばせる転がしが有利になっていきます。
最後に、自分の得意。ここまでの3つで決まらなかったときだけ、練習量のあるクラブを選びます。順番の最後に置いたのは、得意という感覚が当てにならないからです。私は長いことSWの寄せを得意だと思っていましたが、記録をつけてみたら、SWで上げた日よりパターで逃げた日のほうが寄せワン(グリーン外から2打で上がること)が多い。得意だったのは、うまくいった日の記憶だけでした。
状況別の早見表
この表は横並びの比較ではなく、上から順の消去法です。上げる球が出てくるのは最後の行だけ。花道とカラーに限れば、上げる球の出番はそのくらい少ないということです。
朝の練習グリーンで、カラーの外から1球だけ転がしておくと、その日の芝の重さが分かります。露の残る日はここで驚くほど止まります。表の判断がひとつ確実になる30秒です。
ミスの幅という物差し
それでも迷ったら、一番ミスの幅が小さいクラブを選びます。多くの場合、それはパターです。
ウェッジのミスは上下に出ます。ザックリなら足元に1歩、トップなら奥のバンカーまで。同じ場所からのパターのミスは、ショートかオーバーの前後だけです。最悪のパットは最悪のチップよりましだ、という言い回しが海外にはあるそうですが、数字を見る限りそのとおりだと思います。
そして寄せの目標は、ピンに絡めることではありません。1.8メートル、歩幅で2歩強の円に入れば十分です。
Shot Scopeのハンディキャップ別の集計では、1.8メートル以内のパットはHC20(平均スコア92前後)のゴルファーで84%、HC0(平均スコア72前後)なら92.8%入っています。一方で1.8〜3.7メートルに残すと、HC0でも42.8%まで落ちるそうです。上手い人でも半分入らない距離です。だから寄せの3択は、どのクラブなら一番高い確率で1.8メートルの円に入れられるか、という問いに置き換えられます。寄せワン率の数え方とスコア帯別の目安は寄せワン率の目安と上げ方にまとめてあります。
よくある質問
花道とカラーはどう違うのですか?
位置が違います。カラーはグリーンの外周を囲む幅数十センチの帯で、花道はその手前に伸びる刈り込まれた通り道です。寄せの選択という意味ではどちらも同じで、芝が短く転がしが使えるエリア、とまとめて考えて差し支えありません。
パターで届かないほど遠い花道からはどうしますか?
芝の上を転がる距離が10歩を超えるあたりから、パターの距離感は急に甘くなります。そこから先は転がしの距離です。8番やPWでエッジまでキャリーさせて、残りをランで運びます。境目は芝と腕前で動くので、練習グリーンで自分の限界距離を一度測っておくと迷いません。
得意なクラブを優先してはいけませんか?
構いません。ただし順番は最後です。間にあるものとライが許した上でなら、練習量のあるクラブの再現性は立派な根拠になります。危ないのは、得意を理由にラフ越えでもバンカー越えでもSWで上げてしまうことのほうです。
まとめ
花道とカラーからの寄せは、パター、転がし、上げるの3択。見る順番は、間にあるもの、ライ、距離、得意です。転がすルートがあるのに上げる理由は、ほぼありません。迷ったらミスの幅が一番小さいクラブ、多くの場合パターを選ぶ。地味な結論ですが、ここから4打かかる日を消してくれるのはこの地味さです。
参考文献・データについて
距離別のパット成功率は、Shot Scopeがハンディキャップ別に公開している集計を参照しています(フィートからメートルへの換算は概数)。選び方の順番と早見表の推奨は、統計ではなく一般的なコースマネジメントの考え方に基づく提案です。
- Shot Scope「ハンディキャップ別のパット成功率」 shotscope.com
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