- ドライバーの基準は、クラウンからボールが半分出る高さ。フェース上端にボールの赤道が重なるくらい
- 高いティーは打ち出しが上がりスピンが減る。低いティーはその逆で、出るミスの種類も変わる
- フェアウェイウッドやアイアンは、浮かせるほど有利にはならない。ティーの頭が見えるかどうかで十分
- 調整は5ミリ単位で1方向だけ。高さとスイングを同じ日に変えない
前のホールのままのティー
ティーを何ミリ挿すか、考えたことはあるでしょうか。多くの人は前のホールで挿した深さのまま、なんとなく地面に押し込んでいます。腕を上げなくても、道具を買い替えなくても、今日から動かせる変数がここに1つ残っています。
先に紛らわしい話を片付けておきます。この記事で扱うのは、ボールを載せる木やプラスチックのティーの高さです。バックティーやレギュラーティーといった、どのティーイングエリアから打つかという話はティー選びでスコアは変わるに書きました。名前が同じでややこしいのですが、別の話です。
ドライバーの基準の高さ
クラウン、つまりヘッドの上面からボールが半分出る高さ。ここが基準です。ヘッドをボールの真後ろに置いて構えたとき、フェースの上端とボールの赤道が同じ高さに見えるくらい、と言い換えてもいいです。
なぜ半分かというと、ドライバーはフェースの真ん中より少し上で打ったほうが、打ち出しが高くスピンの少ない球になってキャリーが伸びると言われているからです。数ミリ上で当てるための下準備が、この高さです。
もうひとつ大事なのが、毎回同じ高さで挿せているかどうか。指のどの関節まで持って挿すかを決めておくか、同じ高さにしか挿せない段付きのティーを使う。高さが毎回バラバラなら、フェースのどこに当たるかもバラバラになります。
高いティーと低いティーで変わるもの
基準より高くすると、ヘッドが最下点を過ぎて上昇しながらボールを捉えるアッパー軌道を作りやすくなります。打ち出しは上がり、スピンは減り、飛距離の条件としては良い方向です。そのかわり、フェースの上端やクラウン側に当たるミスが出やすくなる。テンプラです。ボールが真上に近い角度で上がって、キャリーが半分ほどになるあれですね。テンプラそのものの原因と直し方はドライバーのテンプラの直し方に書きました。
低くすると逆のことが起きます。打ち出しは下がり、スピンは増える。フェースの下部に当たりやすくなり、薄い当たりの距離ロスが大きくなります。上から打ち込む軌道にもなりやすく、外から内へのカット軌道と重なるとスライスの曲がり幅が広がる人もいます。曲がり自体に悩んでいるならスライスの原因と直し方のほうが先です。
ここで覚えておきたいのは、高さで軽くできるのは症状までだということです。テンプラを高さだけで消そうとしてティーを下げ続けても、こんどは球が上がらなくなるだけで出口がありません。高さの調整はあとで書く5ミリの範囲にとどめて、それでも続くミスは軌道の問題として切り分けるのが、結局いちばん早い道です。
クラブ別の目安
ドライバー以外でティーショットを打つ場面もあります。パー3のアイアン、刻むホールのフェアウェイウッド。クラブが変われば適正な高さも変わります。
下に行くほど低くなっていることに気づくと思います。ドライバー以外のクラブは、フェースの下のほうで拾って前に運ぶ道具なので、ボールを浮かせるほど有利になるわけではありません。
フェアウェイウッドはフェースの背が低いぶん、浮かせすぎるとフェースの上を球がかすめてテンプラになります。私は刻むつもりの3番ウッドを、ドライバー用のロングティーに載せたまま打ってこれをやりました。挿し直す数秒を惜しんだ結果としては高い1打でした。アイアンはもっとはっきりしていて、高いティーの球はフェースの上部に当たり、ふわっと上がるだけで届きません。パー3で7番のキャリーがいつもより10ヤード短いときは、だいたいティーが高すぎます。
芝すれすれの低さでも、ボールの後ろの芝や土の影響を受けないライを自分で作れます。ルールがそれを許してくれる数少ない場面なので、直打ちにこだわる理由はありません。低く挿す、ただそれだけです。
ミスに合わせた調整の手順
まず基準に戻す
調整は基準があって初めて意味を持ちます。クラウンからボール半分に合わせて、数ホール、練習場なら10球ほど様子を見ます。ラウンド中に無意識にずれていくものなので、ミスが出たときこそ一度基準に戻してください。
いちばん多いミスを1つ選ぶ
テンプラなのか、吹け上がりなのか、薄い当たりなのか。全部を一度に消そうとせず、その日いちばん多く出ているミスを1つだけ選びます。
5ミリだけ動かす
テンプラ気味なら5ミリ低く。吹け上がりや薄い当たりなら5ミリ高く。これはその日をしのぐための調整で、5ミリで消えないミスはスイング側の宿題です。大きく動かすと別のミスが顔を出すので、動かすのは5ミリまで、方向は1つだけです。
ティーを動かした日は、グリップやスイングには触らないでください。両方変えると、球が変わった理由が分からなくなります。高さの実験としても、スイングの練習としても、どちらも無駄になります。
風の日の高さ
向かい風の日は5ミリ低くして振り幅を8割に落とす、というのが定番の対処だと言われています。注意したいのは、これがセットでひとつの対処だということです。高さだけ下げてフルスイングを続けると、フェースの下部に当たってスピンが増え、低く打ち出したはずの球がかえって吹け上がります。
追い風の日は基準のまま。欲張って高くしたくなりますが、風に乗せようとした高いティーからテンプラが出ると、いちばんもったいない日にいちばん痛いミスを払うことになります。追い風は高さで乗せるものではなく、勝手に乗るものです。
風の日はティーショットの結果が普段より散らばります。散らばりがスコアにどれだけ響いているかはティーショットの安定性がスコアに与える影響で扱っているので、風の言い訳が効くのかどうか、数字で確かめてみてください。
よくある質問
ティーの高さは毎回そろえるべきですか
そろえるべきです。基準が固定されていないと、ミスが出たときにティーのせいなのかスイングのせいなのか切り分けられません。挿す深さを指の関節で覚えるか、段付きティーを使うのが手っ取り早いです。
何種類のティーを持てばいいですか
ドライバー用のロングティーと、パー3用のショートティーの2種類で足ります。長さの数字にこだわるより、毎回同じ高さを再現できるかどうかのほうが結果に効きます。
調整してもテンプラが止まりません
高さで軽くできるのは症状までです。5ミリ下げても止まらないなら、原因は上から打ち込む軌道のほうにあります。ティーはそれ以上低くせず、軌道の修正に切り替えてください。高さの往復を始めると出口がなくなります。
まとめ
基準はクラウンからボール半分。フェアウェイウッドから下は、クラブが小さくなるほど低く。調整は5ミリ単位で1方向だけ、スイングとは同じ日に触らない。覚えることはこれだけです。
ティーの高さはスイング改造と違って、今日変えて、合わなければ明日やめられます。まず基準に合わせて1ラウンド。それだけで十分に実験になります。
参考文献・データについて
本記事のティーの高さや調整幅の数値は、コーチングの現場で広く使われている目安で、特定の調査データに基づくものではありません。適正な高さはヘッドの形状やスイングによって変わるため、基準から少しずつ動かして自分に合う高さを見つけてください。
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