- 砲台グリーンで手前に落ちた球は土手を転がり戻る。5ヤードのショートが20ヤードの寄せに変わる
- 番手はグリーンセンターまでの距離で選ぶ。ピンが手前に切ってあっても短くしない
- グリーン面が一枚も見えないなら、高低差を計算するより1番手足すほうが早い
- 受けグリーンは奥に外すのが最悪。逆傾斜のグリーンではこの順番がひっくり返る
手前に落ちた球の行き先
残り140ヤード、ピンは手前から5ヤード。9番で135ヤード運べば、ピンの少し手前に落ちる計算でした。
打った球は狙った場所に落ちました。そこから、転がって戻ってきました。グリーン前縁の土手を下って、最後は前縁の15ヤードほど下のラフ。狙い通りに打ったはずが、ピンまで20ヤードの、上げるしかない寄せが残っています。
砲台グリーンで手前に落とすと、ショートした距離以上に押し返されます。平らなグリーンなら5ヤードのショートは5ヤードのロスですが、砲台では土手の高さと傾斜のぶんが上乗せされる。傾斜と芝の状態にもよりますが、10ヤード以上戻ることはざらにあります。
しかも戻った先からは、グリーン面がほとんど見えません。ピンまでの距離は分かっても、球を落とす場所が見えないまま上げることになる。ここが1打で収まらないから、砲台グリーンのボギーは簡単にダブルボギーへ化けます。
1番手大きめの中身
砲台グリーンでの番手選びは、ひとつ決めておけば済みます。ピンまでの距離では選ばない。グリーンセンターまでの距離で選ぶ。
ピンが手前に切ってあると、つい短いほうを握りたくなります。ところが砲台では、手前のピンほど土手が近い。センターまで届く番手を持っておけば、多少ショートしても球はグリーン面に残ります。強めに入った日でも、止まるのはセンターの奥。まだグリーンの上です。
高低差の足し算は、これに上乗せします。3フィート(約1m)につき1ヤード足す、という目安が海外ではよく使われるそうです。10mの砲台なら10ヤード。この換算の詳しい使い方は打ち上げホールでの距離補正と番手選びにまとめてあります。
ひとつ気をつけたいのは、この目安が効くのが150ヤード以上のショットだということ。60ヤードくらいまで近づくと、球が高く上がるぶん高低差の影響が小さくなるので、律儀に足したせいで突き抜けます。短い距離は、球の高さと落とし場所で決めたほうが合います。
1番手か、半番手か。そこまで細かく打ち分けられる自信は私にはないので、迷ったら大きいほうを握って軽く振ることにしています。
グリーン面が見えないときの距離判断
砲台グリーンは、そもそも面が見えないホールが多いものです。旗は見えるのに、グリーンがどこから始まってどこで終わるのか分からない。
そんなときは旗竿の見え方が、地味に使えます。旗竿の高さは7フィート(約2.1m)が一般的で、ツアーの試合では8フィートだそうです。根元まで見えているならグリーン面は目線とそう変わらない高さ。旗の上半分しか出ていないなら、面はかなり上にあると思っていいでしょう。
あとは前の組です。同じくらいの距離から打った球がどこで止まったか、あるいはどこから転がり戻ったか。ヤーデージ杭より正直な情報が手に入ります。
私の場合は、グリーン面が一枚も見えないホールでは高低差の計算そのものをやめて、無条件に1番手足すと決めています。雑なやり方ですが、レーザーの高低差モードを持っていないならこれで十分元は取れます。
カートナビや腕時計型GPSが出すのは、多くが高低差を含まない水平距離です。砲台グリーンのホールでその数字をそのまま信じると、毎回同じ方向にショートし続けることになります。自分の機種が高低差を補正するタイプかどうか、一度だけ調べておけば済む話です。
受けグリーンと逆傾斜
砲台と一口に言っても、上がった先の傾き方で難易度がまるで変わります。
受けグリーンは奥が高く、手前が低い形。飛んできた球が上り斜面に落ちるので、素直に止まってくれます。番手を大きくしてもオーバーしにくいのは、この形のグリーンです。砲台かつ受け、というのが日本のコースでは多い印象で、このタイプはそこまで怖くありません。大きめを持ってセンターに落とせば足ります。
厄介なのは逆傾斜、奥に向かって下っているグリーンのほう。手前の土手を越えるだけの高さで打つと、乗った球がそのまま奥へ転がっていきます。土手に嫌われないよう強めに入れると、今度は奥のカラーからこぼれる。受け入れてくれる幅がとにかく狭い。
このタイプだけは、大きめという基本が裏目に出ます。狙いは前縁から数ヤード奥、キャリーで刻む。スピンで止める技術があるならそれで解決しますが、無いなら、その日は乗らなくても仕方ないと割り切ったほうが打数は減ります。
外すならどちら側か
乗らないことは前提にしていいです。砲台グリーンは、もともと乗る確率が下がる形をしています。だったら、外れたときに寄せやすい側を打つ前に決めておく。
受けグリーンで、いちばん高くつくのは奥です。奥から手前のピンへ寄せると、下り傾斜に球を落とすことになって、まず止まりません。土手の下の手前は上げるしかない代わりに、上ったグリーン面が球を受け止めてくれるので、思ったより寄ります。左右のサイドは土手が低くて距離も短いことが多く、外すならここです。
逆傾斜のグリーンだと、優先順位が入れ替わります。奥にスペースがあるなら、奥から上りの寄せを打つほうが易しい。手前の土手の下からだと、見えないグリーン面が奥へ逃げていくので、球を止める場所そのものがありません。
土手の下からの寄せそのものの打ち方は、ピッチとチップの使い分けに書きました。転がすルートが無い場面をどう判断するかも、そちらにまとめています。
まとめ
砲台グリーンで決めておくのは2つです。距離はセンターまでで測る。外すならサイド、受けなら手前でも構わないので、奥にだけは打たない。奥へ下っている逆傾斜に当たった日だけ、この2つを両方逆にします。
ミスの方向をあらかじめ決めておく考え方は、コースマネジメントの基本でも扱っています。砲台グリーンは、その練習台としては分かりやすいほうのホールです。土手の下に転がり戻った回数だけ、判断が雑だったということなので。
参考文献・データについて
本記事の高低差による距離補正の目安(約3フィートあたり1ヤード)は、一般的なゴルフコーチングの知見に基づく概算値です。土手を転がり戻る距離や傾斜別の寄せやすさは、傾斜角、芝の種類、グリーンの速さ、その日の湿り具合によって変わります。旗竿の高さについては、USGAが以前7フィート以上を推奨していた経緯があり、現行の用具規則には高さの規定はありません(直径の規定のみ)。
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