- ゴルフの起源は15世紀のスコットランド。禁止令が出るほど人気だった
- セントアンドリュースのオールドコースが「ゴルフの聖地」。18ホール制もここから
- 日本では1903年に神戸ゴルフ倶楽部が開場。120年以上の歴史がある
- ゴルフの歴史を知ると、ルールやマナーの意味がより深く理解できる
ゴルフの起源:スコットランドの羊飼い
ゴルフはいつ、どこで始まったのか。
諸説ありますが、最も有力なのはスコットランド起源説です。15世紀のスコットランド東海岸で、羊飼いたちが石を杖で打って穴に入れる遊びをしていたのが始まりとされています。
面白いのは、ゴルフが人気になりすぎて1457年にスコットランド国王ジェームズ2世がゴルフ禁止令を出したことです。弓の練習をサボって国防に影響が出たため。それくらい夢中になるスポーツだったわけです。
セントアンドリュースと18ホールの誕生
ゴルフの聖地
セントアンドリュース(スコットランド東部の街)のリンクスは、世界で最も古いゴルフコースのひとつ。ここが「ゴルフの聖地」と呼ばれるのは、ゴルフの発展に決定的な役割を果たしたからです。
なぜ18ホールなのか
現在のゴルフは18ホールが標準ですが、初期のゴルフには統一された規定がなく、コースによってホール数はバラバラでした。
セントアンドリュースのオールドコースは、もともと22ホールありました。それを1764年に18ホールへ改定。その後、セントアンドリュースの権威から「18ホール」が世界標準になっていきます。
「ウイスキー1本で18杯分=18ホール」という有名な話がありますが、これは後世のジョーク。実際には、セントアンドリュースで4ホール分が統合されて22→18になったのが始まりです。
ゴルフの発展:イギリスから世界へ
18〜19世紀:ルールの整備
- 1744年: エディンバラで最初のゴルフクラブ「The Honourable Company of Edinburgh Golfers」が設立。13条のルールが制定される
- 1754年: セントアンドリュースにロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)が設立
- 1860年: 第1回全英オープン開催。8名の選手が参加
19世紀末〜20世紀:アメリカでの発展
- 1894年: USGA(全米ゴルフ協会)設立
- 1916年: PGAオブ・アメリカ設立。プロゴルフの基盤ができる
- 1934年: 第1回マスターズ開催。オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブにて
21世紀:世界的な広がり
アジアや中東にもゴルフが広がり、現在は世界で約6,000万人がゴルフを楽しんでいるとされています。
日本のゴルフ史
黎明期
- 1901年: 英国人アーサー・ヘスケス・グルームが六甲山にゴルフ場を開設(4ホール)
- 1903年: 神戸ゴルフ倶楽部が正式開場。日本最古のゴルフ場
- 1913年: 東京ゴルフ倶楽部設立。日本人によるゴルフクラブの先駆け
成長期
- 1957年: 日本で初のテレビゴルフ中継
- 1970年代: ゴルフブーム到来。会員権が高騰
- 1980〜90年代: バブル期のゴルフブーム最盛期。会員権が投機対象に
現代
- 2021年: 東京オリンピックでゴルフ競技開催。松山英樹選手がマスターズ優勝
- 現在: 若い世代やカジュアルゴルファーの参入が増加中
2021年の松山英樹選手のマスターズ優勝は、アジア人男子として初の快挙。日本のゴルフ界に大きなインパクトを与え、新たなゴルフブームのきっかけとなりました。
日本のゴルフの歩み
年表で追った日本のゴルフ史を、今度は物語としてたどってみましょう。
日本にゴルフを持ち込んだのは、明治時代に神戸で暮らしていた英国人たちだったとされています。避暑地だった六甲山の山上に数ホールの小さなコースが造られ、これがのちの神戸ゴルフ倶楽部につながりました。神戸ゴルフ倶楽部は現在も六甲山でプレーできる現役のコースで、「日本最古のゴルフ場」とされています。
戦前のゴルフは、外国人居留者と一部の富裕層の社交の場でした。それが大きく変わったのは戦後です。高度経済成長とともに各地でゴルフ場の建設が進み、テレビ中継でプロの活躍が茶の間に届くようになると、ゴルフは「会社員のたしなみ」として一気に広がっていったと言われています。バブル期には会員権が投機の対象になるほど過熱し、その反動の時代を経て、いまはもっと身軽でカジュアルな楽しみ方が主流になりつつあります。
そして現在。シミュレーションゴルフや手軽なハーフラウンド、スコア管理アプリなど、楽しみ方の選択肢はこの百年でいちばん豊かになったと言えるかもしれません。「会社のつきあい」ではなく「自分の趣味」としてクラブを握る人が増えているのは、歴史のいちばん新しい1ページです。
日本のコースには、この歩みが生んだ独特の特徴もあります。山地が多い国土ゆえの山岳コースや打ち上げ・打ち下ろしの多いレイアウト、そして夏の暑さと冬の寒さの両方に対応するために生まれたと言われる「2グリーン」の設計。海外のゴルファーが日本のコースで驚くポイントは、そのまま日本のゴルフが歩んできた道のりでもあります。
ここまでの流れをざっくり整理すると、こんな歩みになります。
ネットに囲まれた多層階の大型練習場が街のあちこちにある風景は、日本でよく発達したものだと言われています。コースに出るハードルが高かったぶん、練習場だけでゴルフを楽しむ文化が育ったのも、日本のゴルフ史の一面です。
こうして振り返ると、日本のゴルフは「外から来た遊びを、自分たちの風土に合わせて育て直してきた歴史」だと言えます。山の上の数ホールから始まって、いまや老若男女が楽しむスポーツへ。次のラウンドでティーグラウンドに立つとき、少しだけこの歩みに思いを馳せてみてください。
百年を超える歴史の中で生まれた名門コースは、いまも各地でプレーできます。興味が湧いたら日本の名門コース10選をどうぞ。世界の歴史ある大会と日本人選手の関わりは、ゴルフ4大メジャー大会ガイドで紹介しています。
用語に残る歴史
ゴルフの歴史は、ふだん何気なく使っている用語の中にも残っています。
- ボギー: もともとは「架空の名手ボギー氏と競うための基準スコア」を指す言葉だったとされています。道具の進化でスコアの基準がパーに移り、ボギーは「パーより1打多いスコア」の意味へ変わっていったそうです
- バーディー: 「素晴らしい」を意味した米国の古いスラング「bird」に由来するとされています。バーディーより1打良いスコアを、さらに大きな鳥の「イーグル」と呼ぶのはその延長です
- パー: もとは金融の世界で「額面どおり」を意味した言葉が、「基準どおりのスコア」に転用されたという説が知られています
- キャディー: フランス語で年少者を指す「cadet」がスコットランドに渡って変化した、という説がよく知られています
- フォア: 打球が人のほうへ飛んだときの警告の掛け声。前方で球の行方を見ていた「フォアキャディー」への呼びかけが縮まった、という説があります
- ティー: 木や樹脂のティーペグが普及する前は、砂を小さく盛ってその上にボールを乗せていたとされ、その名残が言葉として残っています
- リンクス: 海辺の砂地の草原を指すスコットランドの言葉。ゴルフが生まれた地形そのものが、コースの呼び名として今も残っています
ちなみに「ゴルフ」という言葉自体の由来も、実ははっきりしていません。棒を意味する古い言葉に由来する説などがあるものの、決定打はなし。名前の由来すら謎に包まれているところも、500年を超える歴史を持つスポーツらしいところです。
由来を知ると、カタカナだらけのゴルフ用語が少し身近になりませんか。用語のまとめはゴルフ用語辞典50選に、ボギーやバーディーを使ったスコアの数え方はゴルフのスコアリングシステム解説にまとめています。
ゴルフ道具の進化
クラブの変遷
- 初期: 木製のヘッドとシャフト。フェザリーボール(羽毛を詰めた革球)との組み合わせ
- 19世紀後半: ガッタパーチャボール登場。鍛造アイアン登場
- 20世紀: スチールシャフト(1930年代〜)、カーボンシャフト(1970年代〜)
- 現代: チタンドライバー、多素材アイアン、GPS距離計。テクノロジーの進化が飛距離を伸ばし続けている
ボールの進化
- フェザリーボール → ガッタパーチャ → ハスケル(糸巻き) → ソリッドボール(現代)
各時代のボールの進化が飛距離の向上に直結してきました。R&AとUSGAは飛距離制限のルールを定めて、コースが短くなりすぎないよう調整しています。
まとめ
歴史をたどると、このスポーツの奥行きが見えてきます。始まりは15世紀スコットランド、羊飼いの遊びから。セントアンドリュースで18ホール制が確立し、1860年には最初のメジャー、全英オープンが開かれました。日本では1903年の神戸ゴルフ倶楽部から120年を超える歴史が続いています。道具も、木のクラブからチタンドライバーへと大きく姿を変えてきました。
500年以上の歴史を持つゴルフ。その伝統の中でプレーしていると思うと、1打1打がちょっと特別に感じられませんか?
よくある質問
ゴルフ発祥の地はどこですか?
スコットランド説が定説とされています。海辺の草地(リンクス)で羊飼いが石を打った遊びが原型と言われ、セントアンドリュースを中心にルールや18ホール制が整えられていきました。
ただし、似たような球技は中世のオランダなどにもあったとされ、起源そのものには諸説あります。いずれにせよ「近代ゴルフを育てたのはスコットランド」という点は、広く一致しているところです。
なお、ゴルフの規則を今も定めているのは、スコットランドに本拠を置くR&Aと米国のUSGAです。発祥の地が現在もルールの番人であり続けているのは、歴史あるスポーツならではですね。
日本最古のゴルフ場はどこですか?
神戸ゴルフ倶楽部とされています。明治時代に神戸在住の英国人たちが六甲山に造ったコースが始まりで、現在も同じ六甲山上でプレーできる現役のゴルフ場です。
標高の高い山の上にあるため夏でも涼しく、日本のゴルフの原点を体感できる場所として知られています。歴史あるコースを知りたい方は、日本の名門コース10選もあわせてどうぞ。
参考文献・データについて
本記事の歴史的事実はR&A、USGA、JGAの公式資料および一般的なゴルフ史の文献に基づいています。
- R&A「About Us(The R&Aの沿革)」 randa.org
- JGA「JGA年史」 jga.or.jp
- 神戸ゴルフ倶楽部 kobegc.or.jp
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